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繊維製品の取り扱い絵表示が変わります その3

現行の表示記号は、家庭洗濯を適用範囲とする処理条件の指示情報であり、ドライクリーニングの記号はクリーニング業者に洗濯を依頼することを意味するものでしかありませんが、新しい表示記号では、ドライクリーニングとウエットクリーニングの記号が適用範囲に新しく加わり、処理条件の上限情報を提供することが規定されました。

また、新しい表示記号体系では、表示者が表示記号に根拠を持ち、責任を持って最も適切な記号を表示すべきであることを、規格を運用する基本的な考えとしています。対象品に不都合が生じた場合や問い合わせに対して、表示者はその根拠(試験結果、素材の特性、過去の不具合実績など)をもって説明することが必要となります。

グローバル化への対応が、日本の繊維製品の取り扱い絵表示の変更を余儀なくさせ、結果として、表示者、消費者、クリーニング業者の関係が変わるのだとも言えます。


今回は、商業クリーニングに関する記号について説明いたします。

⑤商業クリーニング処理の記号 
ドライクリーニング処理の記号
doraikuri-ninngu.jpgのサムネイル画像  Ⓟは、パークロロエチレン、Ⓕは、石油系の溶剤を使用する記号で、それぞれの記号にアンダーバーが付加されると、アンダーバーの無い記号より弱い洗いを指します。Ⓟの記号が表示された繊維製品は、石油系の溶剤で洗うことができますが、Ⓕの記号が表示された繊維製品は、パークロロエチレンで洗うことができません。


ウエットクリーニング処理の記号
uettokuri-ninngu.jpgのサムネイル画像  ウエットクリーニング処理は、特殊な技術を用いた業者による繊維製品の水洗い処理(洗い、すすぎ、脱水、乾燥までの工程)と規定しています。家庭では仕上げが難しい製品や、ドライクリーニングには不向きな製品で業者の設備と技術によっては水洗いできる製品に、ウエットクリーニングの表示が推奨されると考えられます。

しかしながら、ウエットクリーニング処理の記号については、事前試験の仕上がりの程度やその評価の程度の基準やクリーニング業者へ事前試験の処理条件を伝達する方法が整備されていないなど、問題を抱えたままであるのが現状です。また、海外ではウエットクリーニング処理の記号の使用はほとんどないのが実情です。


新しい規格での表示の並べ方は、家庭洗濯・商業洗濯の順で、洗濯、漂白、タンブル乾燥、自然乾燥、アイロン、パークロロエチレンまたは石油系、ウエットクリーニングの順となります。
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また、この規格で規定されている5個の基本記号のいずれかが記載されていないときには、その記号によって意味している全ての処理が可能であることを表しています。


資料参照:日本工業標準調査会(JIS L 1934-4)、一般社団法人日本衣料管理協会(会報2014.10.1 NO.166)