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繊維製品の取り扱い絵表示が変わります その2
前回のコラムでは、繊維製品の取り扱い絵表示の変更のポイントについて説明いたしました。今回は具体的に新規格の表示記号について、特に家庭での洗濯に関する記号について、細かく説明いたします。
新記号の体系は、5つの基本記号と処理条件を表す付加記号の組み合わせで表示します。基本記号は、「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン仕上げ」「商業クリーニング」の5項目です。付加記号は、「処理力の弱さ」「処理温度」「処理・操作の禁止」を表します。
①洗濯処理の記号
付加記号の『-』、『=』は、衣料品に掛けられる力作用の程度を表し、基本記号の下に付加します。アンダーバーの本数が多いほど処理力を弱くしなければならないことを意味します。記号の条件若しくはそれよりも弱い条件で洗うという考え方に変わったことは、すでに説明した通りです。
②漂白処理の記号
漂白処理の記号は、現行の表示記号とは大きく意味合いが変わります。現行の表示記号では、漂白記号は塩素系漂白剤だけを表す記号でしたが、新しい表示記号では酸素系漂白剤も含まれる記号となりました。そのため酸素系漂白剤のみが使用できることを表す記号が増えました。
③乾燥処理の記号
家庭でのタンブル乾燥のみの記号
乾燥の記号では、横型ドラム回転式乾燥(タンブル乾燥)及び、自然乾燥と干し方を表す記号となりました。付加記号の『・』、『・・』は、タンブル乾燥の温度を表し、点の数が多いほど温度が高いことを示します。
自然乾燥処理
自然乾燥については『□』の中に線を使って表す記号となります。『□』の中の縦線は吊り干し、横線は平干しを表します。またそれぞれ、1本線は脱水後、2本線は脱水せずに濡れたまま干すこと(脱水禁止)を意味します。日陰干しは、『□』の中の斜め左上に、斜線を引いて表します。
④アイロン仕上げ処理の記号
付加記号の『・』、『・・』などは、アイロンの温度を表し、点の数が多いほど温度が高いことを示します。付加される基本記号が乾燥かアイロンなのかによって、示される温度は異なるので、注意が必要です。
洗濯表示記号で表すことのできない取扱い方法に関する情報については、必要に応じて、記号を並べて表示した近くに用語(付記用語)や文章で表示することができます。現行JISで使用されている絞り方の"ヨワク"の記号はなくなり、文字の"中性"、"ネット使用"、付加記号であるアイロンの掛け方の" 〰(当て布使用)"については、事業者の任意表示である付記用語となります。具体例としては、「弱く絞る」「中性洗剤使用」「洗濯ネット使用」「裏返しにして洗う」「あて布使用」「飾り部分アイロン禁止」などとなります。
今回は、家庭での洗濯に関する記号について説明いたしました。次回は、商業クリーニングに関する記号について説明いたします。
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Before
After
- 繊維製品の取り扱い絵表示が変わります その3
現行の表示記号は、家庭洗濯を適用範囲とする処理条件の指示情報であり、ドライクリーニングの記号はクリーニング業者に洗濯を依頼することを意味するものでしかありませんが、新しい表示記号では、ドライクリーニングとウエットクリーニングの記号が適用範囲に新しく加わり、処理条件の上限情報を提供することが規定されました。
また、新しい表示記号体系では、表示者が表示記号に根拠を持ち、責任を持って最も適切な記号を表示すべきであることを、規格を運用する基本的な考えとしています。対象品に不都合が生じた場合や問い合わせに対して、表示者はその根拠(試験結果、素材の特性、過去の不具合実績など)をもって説明することが必要となります。
グローバル化への対応が、日本の繊維製品の取り扱い絵表示の変更を余儀なくさせ、結果として、表示者、消費者、クリーニング業者の関係が変わるのだとも言えます。
今回は、商業クリーニングに関する記号について説明いたします。
- >> 繊維製品の取り扱い絵表示が変わります その2
前回のコラムでは、繊維製品の取り扱い絵表示の変更のポイントについて説明いたしました。今回は具体的に新規格の表示記号について、特に家庭での洗濯に関する記号について、細かく説明いたします。
新記号の体系は、5つの基本記号と処理条件を表す付加記号の組み合わせで表示します。基本記号は、「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン仕上げ」「商業クリーニング」の5項目です。付加記号は、「処理力の弱さ」「処理温度」「処理・操作の禁止」を表します。
- 繊維製品の取り扱い絵表示が変わります その1
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消費者庁ホームページより
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