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繊維製品の取り扱い絵表示が変わります その1

平成28年12月から、衣類等の繊維製品の洗濯表示が新しいものに変更されます。表示の記号の種類が増え、繊維製品の取り扱いに関するよりきめ細かい情報が提供されるようになります。また、国内外で洗濯表示が統一されることにより、海外輸入製品の取り扱いなどを円滑に行えるようになると考えられます。このように、新しい洗濯表示に変わることによって、一般消費者の利便性の向上が期待できます。
消費者庁ホームページより

大きな変更のポイントは、以下の3点です。

①指示情報から上限情報の表示へと考え方が変わります。

現行の表示記号は、「この方法で洗濯するのがよい」と指示していますが、新しい表示記号では『回復不可能な損傷を起こさない最も厳しい処理・操作に関する情報を提供する』と規定されました。つまり、その記号の条件若しくは、それよりも弱い条件で洗うという考え方に変わります。

②表示者への責任が変わります。

表示者が表示記号に根拠を持ち、責任を持って最も適切な記号を表示すべきであることを、新しい表示記号体系では、規格を運用する基本的な考えとしています。対象品に不都合が生じた場合や問い合わせに対して、表示者はその根拠(試験結果、素材の特性、過去の不具合実績など)をもって説明することが必要となります。

③適用範囲が変わります。

現行の表示記号の適用範囲は、家庭洗濯ですが、新しい表示記号ではドライクリーニングとウエットクリーニング(以下、商業クリーニング)の記号が新しく加わり、商業クリーニングについても、表示者が責任を持って記号を表示することになります。現行の表示にもドライクリーニングの記号はありましたが、これはクリーニング業者に洗濯を依頼することを意味するものです。現行の表示記号では、商業クリーニングはその適用範囲外で、取扱いは業者の判断に委ねられているということです。


『洗濯禁止、漂白禁止、アイロンは低温当て布使用、ドライクリーニングのみ可能』というような表示が、現規格では非常に多く見受けられます。新規格では、ドライクリーニングは寸法の問題が発生しないからというだけの理由や、商業クリーニングは適用範囲外で取扱いは業者の判断に委ねれば良いからという理由で、安易な表示の選択をすることができなくなります。

表示者が、消費者利益に反する表示をすることへの戒めとなるのです。


最後まで、このコラムをお読みいただきありがとうございます。今回は変更のポイントについて、専門用語を使用せず、またクリーニング業者としての立場に偏ることの無い様に解説しようと努めましたが、大きな驚きがあったのではないでしょうか? 次回は、新規格の表示記号について説明いたします。


※内容としては繰り返しになる部分もありますが、大切なので補足を追記します。

家庭用品品質表示法は、消費者が日常使用する家庭用品を対象に、商品の品質について事業者が表示すべき事項や表示方法を定めています。そしてその目的は、消費者が商品の購入をする際に、適切な情報提供を受けることができるようにすることです。繊維製品に関する表示すべき事項と表示方法は、家庭用品品質表示法に基づいた繊維製品品質表示規定で定められ、JIS L0217(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)に規定する記号を用いて家庭洗濯等の取扱い方法を表示します。

消費者利益保護を目的とする家庭用品品質表示法に基づいた繊維製品品質表示規定に定められている家庭洗濯等の取り扱い方法の表示が、平成28年12月以後は、JIS L0217(現行JIS)からJIS L0001(新JIS)に変わるのです。

新JISの制定は、①繊維製品の生産及び流通のグローバル化と、②家庭用洗濯機の変化(渦巻き式の高機能化とドラム式の普及)に対応するためですが、日本独自の表示記号が貿易の技術的障壁であり、ISO規格へ整合する必要があるとの要請が海外からあったことが、制定を進める一因となりました。

資料参照:一般社団法人日本衣料管理協会(会報2014.10.1 NO.166)、一般社団法人日本テキスタイルケア協会